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二丸修一 『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』 読了

 事前にこの本の感想を沢山読んだんですが、お前ら勝敗について言及しすぎ。おかげで、だいたいどんな結末なのかわかって読みました。

 いや、楽しかったですね。幼なじみの黒羽ちゃんが大変可愛い。告白に玉砕し、もはや恐れるものはないという感じの捨て身の戦い。幼なじみ負けヒロインの負け要因の多くは自分の気持ちを隠すことや素直になれないというところが大きいですが、そんな凡百の負けヒロインとは違うんですよと言わんばかりの果敢な猛アタック。流石、絶対に負けないと書いてあるだけあって、強いです。そんな猛アピールされてしまったらねー。そんな尽くされたらねー。思春期の男子に気軽にボディタッチはよくないですよ。堕ちます。

 正直、このタイトルと表紙で気になった完璧に射程圏内で満足させる出来なので、特に語るべきことなくない?って感じですが、この表紙いいですよね……しぐれういさんの仕事が完璧ですね。挑発的な表情と仕草……というか、挑発してますね。これは。

 言葉でも行動でも、圧倒的に強い幼なじみ。かつてこんなに強い幼なじみが居ただろうか。居たかもしれない。思いつく人はぼくに教えてください。 読むので。

 以下、ネタバレ

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テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

三門優祐他 『Re-ClaM_Vol.1_Digital_Edition』 読了

 本書は確か去年くらいに文学フリーマーケットにクラシックミステリ愛好家のゆーゆー先輩こと、三門優祐氏が企画し、編集、執筆した同人誌の電子書籍であり、権利の都合上一部は削られているらしいが、紙は通販も一瞬で完売したなかなかすごい同人誌である。電子書籍版をわざわざ出したということや本人のツイートからも紙の再販の予定はないと思われる。
 マーティン・エドワーズ『探偵小説の黄金時代』の翻訳者によるあとがき? 紹介? にマーティン・エドワーズ本人へのインタビュー(国内初)。芦辺拓が実際にマーティン・エドワーズと会ったときの印象を語っていたり、三門優祐のマーティン・エドワーズ作品(全部未訳)レビューが載っている。
 『探偵小説の黄金時代』を読むようなクラシックミステリに興味がある人なら既にこの本を読んでいるでしょう。つーか、ぼくがラノベばかり紹介していることもあって、ミステリ読みなんて知り合い(のごく一部)しかこのブログ読んでないし、そういう人に向けて書く意味はないですね。

 このブログを読んでくれている人の大半はいやいや日本に翻訳がなかったら紹介されても読めないじゃんと思われるかもしれないが、少なくともエドワーズのインタビューは日本語で読めます。今後、エドワーズの長編小説が翻訳されていくのかはわかりませんが、長編が翻訳、売れていった際にもっと前から注目していたんだぜとドヤることができます。と言いつつもぼくもそんなことには興味ないですが。

 この本を読むことで得られるものは日本にめちゃめちゃ多くある本を紹介している雑誌やら本やら書評本やらと同じく、まだ自分の知らない名作が世界にあることです。ぼくは英語が読めないので、この本で紹介されている本をほぼ読むことができません。しかし、この本を読んで世の中には宝の山が大量に眠っていることを思い出させてくれます。これは夢ではなく事実なのです。手を伸ばせば手に入れることもできます。
 もちろん、そんな高く手を伸ばさなくても、周囲で満足することはできます。世の中にはたくさんの日本語で書かれた本があります。ミステリだけを見ても、そもそもぼくはあまりミステリを読んでいる人間とは言えないこともあり、ソシャゲと会社を辞めて10年ニートをしたとしても読み切れないほどあります。ここにレビューなどを寄稿している人達はインタビューのエドワーズを除き日本人です。自宅には日本語で書かれた本がいくらでも未読のまま積まれていることでしょう。それでも、まだ知らない本を探し出して読んでいます。貪欲に面白い本を探すパワーがあります。
 これはこの最近、ぼくから急速に失われてしまっていたものですね……眩しく感じます。面白い本が読みたい! 欲望を解放しろ!

 世の中には面白い本の紹介をしている人は沢山います。そんな中で、この本はただ面白い本があると言っているのではないです。この本は面白い本は"探せば"まだまだ沢山あるぞ!と誘っているのです。そこが今回ぼくには嬉しく感じました。
 ぼくは実家に帰り、物理的な収納場所の限界という壁にぶちあたりました。あと転職をした際に金がないという経験をしました。買わない理由ばかりを探している自分に気づいていても目をそらしていました。でも、本当はずっと、欲しかったんです。
 いや、いい本を読んだ。目の覚める思いでしたね。
 
 とはいえ、物理的に金のないのはどうにもならないんですけどね! まずは新刊を我慢するのをやめよう! 気になったら買うんだよ!

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

草野原々 『これは学園ラブコメです。』 読了

 そういえば、この本について語っていなかった気がする。正直、読んだときは体調がそんなによくなかったので、ぶっちゃけ、頭の痛いこの作品について語るのを拒否していた。まあ、本作品でメタフィクションで様々なジャンルが交差してジャンルという巨大な敵と戦って最終的に学園ラブコメにたどり着く話であり、その意味では作者がこれを学園ラブコメだと声高に主張するのも間違っていないと思う。

 この本の何を語ればいいのかさっぱりわからんのだが、なんていうか、確かにこれは早川書房よりもライトノベルレーベル向けというか、早川読者向けではないかもしれんが、じゃあ、ライトノベルレーベル向けの作品かというとそれもまた微妙じゃね? という気がしないでもないですね。ここでガガガ文庫はやっぱり違うんだぜとか言い出すとフォロワーに怒られるのですが、まあ、なんていうか、これがライトノベルレーベルで出たのはひとつの狂気だと思う。つーか、これはどっちかというと星の海あたりなら納得感はあるが、あそこで出すには固定読者の数が足りないのかなあと思う。せーかいしゃはバカ売れしないけど、まいじゃー(死後)に固定読者がいる作家を連れてくる印象が強い。

 作品の中身についてさっぱり語っていないのだが、学園ラブコメを完遂する話としか言いづらいというか、ホラー展開やミステリ展開やSF展開が侵略していくたびにメインヒロインがころころ変わり、学園ラブコメに到達するために戦っていく作品なんですよ。文脈を無視して襲い掛かってくる○○展開。タイポグラフィからいろいろと用いた多様な表現。あとがきを使うとか、■を盾にするとか二次創作的手法を使うとか、あらゆる手を尽くして生き残ろうとする彼らの物語は、なんていうか、頭が痛くなってきますね。
 いや、なんか一昔か二昔前には結構2chまとめサイトのおかげで、ライトノベルの文章力がーという人達がいたんですが、そういう人達にこれを読ませたらどう反応するのか気になりますね。破綻を恐れないというか、ここまで来ると逆に破綻しないのではないか。

 ゲンゲンの短編は今までも短編を続けて読むと面白いけど頭が痛くなってくるという感想でしたが、第一長編ということで今度は頭が痛くなってくるけど、面白いという感じでしたね。
 ゲンゲンの作品の頭が痛くなってくるというのは難しいとかそういう意味ではまったくないので安心してください。

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

ジョージ・オーウェル 『動物農場』 読了

 ジョージ・オーウェルといえば、10年くらい前に一九八四年を読んで、なかなか難しい本を書く人だなあという思っていたのだが、動物農場は全然難しい本ではなかったですね!
 
 本書は動物達が農場主のジョーンズさんを打倒して、そこから自分たち動物だけの農場を経営していき、知能の低い他の動物達にかわり、知識階級である豚(本書では豚の知能は人間並みに高い)が絶対的権力を持つようになり、武力による政権奪取が行われて、ジョーンズさん時代よりも酷い時代が訪れるが、知能の低い動物達は記憶していくことができず豚に騙されて、あわれ豚の家畜となってしまうという話である。
 
 わかりきっていたことですが、めちゃめちゃ風刺小説ですね。今読むと日本の現状に当てはめてしまってつらい思いをしますね。
 
 本書の豚。特に独裁者となったナポレオンは動物達を自分の都合のいいようにコントロールするため、配下の豚に命じて法である七戒をこっそり改変して法を自分の都合のいいように改変し、自分に従わない豚は粛清したりと、好き勝手やっています。他の動物達は文字が読めなかったり、読めても文書が適切に管理されていないため正しい記録がない。曖昧な記憶よりも口のうまい豚の騙りを信じてしまう。このあたり、公文書の適切な管理の大切さを語られているようで、公文書が適切に管理、保管されていない日本国民としてはつらい思いをしますね! できれば、4年くらい前に読んで完全に他人事でいたかったな!

テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

宮内悠介 『超動く家にて』 読了

 眠れなかったときに、なんとなく書いたのでひたすら冗長な文章が生まれた。

トランジスタ技術の圧縮
 トランジスタ技術という大量の広告によってかなり分厚くなっている雑誌が世の中には存在し、物理的に圧縮する人間がいる。いや、世の中には本当に圧縮している人間がいるらしく、この短編でいう毟り派の手法はインターネットをググれば出てくる。そんなトラ技を圧縮する大会という馬鹿げた競技について書いているのだが、読んでいる最中は寝起きだったせいで、トランジスタ技術を圧縮する大会は実在するのかとか思ってたんですが、そんなわけねー。
 それはともかく、自分も分厚いSFマガジンも圧縮した方がいいのかなと思った。

文学部のこと
 文学を作成するということで、最初粘土板でも作ってるのかなと思ったが、どう読んでも酒だった。文学はお酒みたいなものという主張には一片の真実が入っているのかもしれないが、おれは4年ぶりくらいに飲んだビールが一杯飲み干すことができず、見かねた上司が飲んでくれたという経験をしたばかりであり、お酒について語る資格がないので他人に任せたいところだが、そもそも、まじめに話すことではない気がする。するすると読めてさっぱりとした味の良い短編でした。
 
法則
 ヴァン・ダインの二十の法則が現実に適用される世界の話なのだが、これは自明のこととして語られてるのではなく、主人公が気づくという話である。馬鹿げているようで、大真面目に書かれていて、面白い。殺人事件を起こすには資格がいり、資格のないものには決して起こせない。面白い。

エターナル・レガシー
 ええっと、自信を失った囲碁棋士が自信をZ80だという変な男と交流して、復調していく話である。宮内悠介といえば、伊藤計劃囲碁の作家のひとりであることは有名であり、伊藤計劃囲碁将棋部である。そんな囲碁の印象が強い作者による話なのだが、新技術によって失われたものを再度見つめなおすことの大切さを説いた話ではない。
 AIによって人間の知能の優位性は失われるということに対して悲観的な話という実際には囲碁将棋界とか別に負けても、わいわいしてたので、最近ではあまり見られないレガシーなストーリーです。なつかしもう。

アニマとエーファ
 バカSF短編集ではなかったのか!? ロボットによって物語が語られるようになる。そのきっかけとなったロボットによる自伝。割と疑問なのだが、性に奔放な女の子の性生活に対して思うところがあるロボットってなんでだろう。欲求がなくても、社会通念を学び常識から外れていることに対して思うところが生まれてしまうのだろうか。

超動く家にて
 誰かがこの本を野崎まどっぽいと言っていたのだが、なるほど、確かに超動く家にては野崎まどが書きそうな話であり、この短編集を見てみると作風は異なっても、両者には共通するユーモアがあるのかもしれないななどと思った。個人的にこの短編は紙で読むか端末を二つ使って読んだ方がよい。図があるから。
 いや、一番面白い。読み進めていくと1ページ単位でなんかトンデモな事実がどんどん出てくるのだが、ばっかでーと笑える。
夜間飛行
 書こうとするとネタバレになるのだが、こういう意味あんの?という事例は実在するんだよなー。

ゲーマーズ・ゴースト
 駆け落ちをしてライトバンで逃げていたが、なんかよくわからないが、相方がいろんな人を拾っていて、一緒に走り続けて、各々の衝撃の真実が明かされたりとなんかあったのだが、なんかよくわからないけど面白かった。これがナンセンスギャグというやつだろうか。

かぎ括弧のようなもの
 小説のいいところに現実を必ずしも映像で表せる物を書けるという点がある。つまり、視覚化できないものを物理的に存在することにできるということで、つまり、かぎ括弧のようなものと書けばかぎ括弧のようなものがなんなのかは曖昧(ようなものだから)で曖昧なまま話を進められる。本書におけるかぎ括弧のようなものとは、物理的に存在するが、かぎ括弧のようなものであり、かぎ括弧ではないかもしれない。何が言いたいかというと何が言いたいか今まさに迷走しているので、わからん。いや、面白かったよ。

犬か猫か?
 このぬいぐるみは犬なのか猫なのかという口論をする話で答えは出ない(ネタバレです)。なるほど、これはシュレディンガーの猫を題材にした物語でうんたらかんたらで、ええと、面白かったです。


今日泥棒
 これをこれだけ面白く書けるというのは純粋に小説を書く能力が高いんだろうなというのを感じる。日めくりカレンダーを勝手にめくられていたということで怒る父親と面倒くさがる家族の話である。たったそれだけの話ですごいトリックとかも何も出てこない。でも、面白い。好き。

エラリークイーン数
 エラリークイーン数1とはエラリークイーンのパクリなんじゃないかというのは笑った。Wikipedia風のなんか。そういや、エラリークイーンをあんまり読んでいないので読もうと思う。

スモーク・オン・ザ・ウォーター
 隕石と煙草と共生。異種知性態との共生といえば、たったひとつの冴えたやりかたが有名だが、あちらが悲劇の百合であった。というか、よくよく考えるとあまり知性との共生。共生できないという結論になることが多すぎるのだが(SFホラー映画でよくみるよね)、こちらは明るい。まあ、人間の体なんて寄生虫だらけなのだから、一匹知性があるものが増えたからなんだというのだという気もする。

星間野球
 暇を持て余している実験衛星のメンテナンス要員が、野球盤でどちらが次の交代で家に帰るのかという問題を解決する話。これは過去にも読んだことがある。NOVA+だったか、東京創元社の年間傑作選だったのか思い出せないのだが、この短編で宮内悠介はユーモアもいけるということを知った。
 
クローム再襲撃
 俺は今まで世の中に散らばる村上春樹の文体模写という名の模造品は読んだことがあるが、そういえば村上春樹を読んだことはなかった。6年くらい前に読もうと思って買ったはいいが積んでいる。村上春樹はノーベル文学賞をとれるのかという話題に対する批判を目にすることがあるが、実際に村上春樹にノーベル文学賞をとってほしい人間は見たこともない。マックの女子高生。ウィリアムギブソンは三度読んだが二度(ギブスン単著)ほど地獄のような読書だったので、10年くらいは敬遠したい。村上春樹を読もうと思った。

あとがき
 この本を読むまで、というか、ブログでは今まであとがきについて語ったことがなかった気がするのだが、そのことについて反省した。ぼくは場合によってはあとがきを読まないことすらある(本を一気読みするときとか)不良読者なのだが、この本はあとがきも面白いし、ついでに宮内悠介のエッセイを読みたいと思った。各短編について、この時どんな状態だったのかということとかが語られている。
 これはあとがきのネタバレなのだが、作者は直木賞候補にもなった盤上の夜のラストに星間野球を入れようとしたという正気を見失っている様子が語られている。編集者に却下されたらしいが、それはそうだよな。人間は自分自身を客観視することができず、作者は自作についての客観視が難しいというのは、あるらしい。作者の意図を作者にしかわからないが、作品から意図しない文脈は自然と発生したりしてまうのかなと全く無関係なことを思ったりしていた。

テーマ : 読んだ本。
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