沙藤一樹 『D-ブリッジ・テープ』 読了

切なくて悲しくてグロテスクな物語。だけど不思議なことに怖くない。第4回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作なのに怖くない。

内容は大人たちが会議室でカセットテープを聞いているだけ。そのテープの中に入っている少年の告白が切なくて悲しくてグロテスクで、しかもリアル。とても生々しい。

生き延びるために頑張る少年の姿は胸を打つものがあり、その行動は現代日本に生きる僕らにとってははっきり言って気持ち悪い。時折入る大人たちの会話はとても気持ち悪い。しかし、それがかえって物語の悲しさや切なさを引き立たせてくれるように感じる。実によく出来た小説だなぁ。

ホラーというより文学小説。短いので、読んでみることをオススメします。
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細音啓 『氷結鏡界のエデン』 読了

黄昏色の詠使いの作者、細音啓の新シリーズ。黄昏色~の方は一巻しか読んでないけど、面白かった記憶があるので購入してみたわけだけど。

えー、面白かったは面白かった。細かいところを気にしなければ、問題なく楽しめるとは思う。しかし、突出したところがない。全体として中途半端。

ストーリー展開はベタ。戦闘は緊迫感が足りず、日常も目立ったところはなし。主人公とヒロインの間にある問題も、設定自体は悪くないんだけど、読者を刺激するには足りない。やっぱり中途半端だわ。

はっきり言って、続きを読みたいと思わせる要素がない。つまらないってわけじゃないよ? ただ、積極的に読みたいとは思わないだけ。

続きは見送る。

テッド・チャン 『あなたの人生の物語』 読了

何この濃い中短編集。短編でも長編並みに読み応えがあるんですけど?

SFファンには説明する必要がないほど有名ですが、うちはSFファン向けじゃないので解説をしたいと思います。なお、うちは若者向けを目指しているつもりです。自分、まだ若者なんで。

まず、ファンタジーと違ってSFには多数の賞があります。初心者は賞を目安に買うと安全なんですが、このテッド・チャンという作家は、作品数の割りに異常なほど賞を取っています。

チャンはネビュラ賞を三回、ヒューゴー賞を一回、ローカス賞を一回、スタージョン賞を一回、星雲賞を一回、アシモフ読者賞を一回、SFマガジン読者賞を三回、サイドワイズ賞を一回受賞しています。候補を含めるともっと凄いことになります。八つ、しかも中短編しか発表していない作家の経歴とは思えません。

個人的に好きなものは、デビュー作にしてネビュラ賞を受賞した『バビロンの塔』に、ネビュラ、ヒューゴー、ローカス賞を受賞した『地獄とは神の不在なり』、ミステリ好きなら『あなたの人生の物語』ですね。

全く作品の内容に触れていませんが、こんな傑作だらけの中短編集を真面目に語るとしたら、五つくらい分けなくてはいけないので、やめておきます。

追記。SFが好き以外でも、ファンタジー好きも楽しめます。ただ、内容が濃いので体調を整えてから読むことをオススメします。

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岸大武朗 『恐竜大紀行 完全版』 読了

命ある限り喰え!

これは恐竜漫画という超狭いジャンルの中で、傑作といえる作品でしょう。

1話完結のショートストーリー。ティラノサウルス、プテラノドン、トリケラトプスといったメジャーな恐竜から、イクチオサウルスといったマイナーな恐竜もメインで描かれています。エピローグ含めて14話しかありませんが、毎話読み応えのあるドラマチックなストーリーで読み手を引きこんでくれます。

厳しい自然を生き抜く恐竜たちの姿には、胸を打つものがあります。恐竜に特別な関心や知識のない人も楽しめます。恐竜について少しでも興味があるなら、是非、読んでみてください。
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↓長いので記事にしました。
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