鴨志田一 『青春ブタ野郎はプチデビル後輩の夢を見ない』

 青春ブタ野郎シリーズ第二巻。相変わらず内容に比べてタイトルがひどい。ひどすぎる。
 
 今回は一巻にも登場した後輩・朋絵ちゃんがヒロインです。主人公のことをロリコンと誤解して尻を蹴ってきて、なんかあって主人公も尻を蹴った子 だよなあというものすごくうろ覚えで記憶がない人だったんですが、全然問題ありませんでした。
 
 前巻のラストでは告白を成功させた翌日にループ現象が発生して告白した日に戻されるという主人公とヒロインをくっつけないための悪辣な終わり方 をしましたが、今回は既に怪現象を起こす思春期症候群を乗り越えたばかりとあって、状況の呑み込みと対応に出るのが早いです。
 
 今回もヒロインの子がいいですね。空気を読んで周りに合わせて問題が起きないように生きているヒロイン。ぼっちになるのが嫌で頑張ってるなんて 現代人らしくていいと思います。こういう自分のために努力している子というのは、ぼく好きですね。

 前回から引き続いて登場するメインヒロインの麻衣先輩も相変わらず可愛い。事情を知っているから外で会おうとしないし、主人公の心 が離れないように家に遊びに来たり……距離感が非常に良いですね。何事もなければ付き合えていただけあって、初々しい付き合い始めたばかりのカッ プルのよう、控えめな甘さがお石です。
 主人公の咲太は今回ですごく好感を持てました。周りから何かを言われ続けるのに慣れきっているからか、自分の評判が落ちるとかそんなことで躊躇 をせず思い切った行動に出れるところも良いんですが、この巻のヒロインである朋絵ちゃんと友達以上恋人未満な関係でいようとデートとかしてるけ ど、好感を持つようになるけどそれが友達としてというのがすごく良い。こいつほんと麻衣先輩一筋なんだなあと応援したくなりますね。
 
 すごくすっきり終わっているけど、ラストで次の波乱の予兆が書かれたので次巻も買おうと思います。
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『漆黒のシャルノスFVR』 レビュー

 今更説明するのもあれだけど、Liar sofで発売されているスチームパンクシリーズの三作目。シリーズ三作目だけど、この作品からやっても問題ない。このシリーズは物語自体は単品で完結していて、前作や前々作をやっていなくても楽しめるし、やっていれば所々ニヤリとできるので気になったものからやって欲しい。このシリーズを書いてるシナリオライターの桜井光さんは本当にこの辺のさじ加減が上手くて、知らなければ何でもない会話として見逃してしまうんだけど、ついつい探してしまう。

 物語の舞台は我々の住む地球とは別の発展を遂げた世界。蒸気文明で空を雲に覆われ、一部地域で僅かな日差しを見ることでしか美しい空を見上げることができない機関都市ロンドン。
 碩学(学者)の卵として勉学に励み、友人達のお茶会などでごく普通の女の子としての生活を謳歌していた主人公メアリは友人であるシャーリィの様子が最近おかしいことに気づく。もう一人の友人であるアーシェと共に気にかけてはいたものの、具体的な行動を躊躇っていたメアリはある日、都市で噂される怪異にシャーリィが襲われるところを目撃してしまう。
 その後、彼女は自らも怪異に襲われるようになり、怪異の出現の際には都市は変貌して見知ったロンドンではなくなってしまう……。そして怪異と時同じく現れた謎の秘密結社のエージェント・Mはメアリに対して契約を持ちかける。それは、シャーリィを助けたくば怪異を誘き寄せる餌となれというものだった……。というのが本編の冒頭の部分になる。
 その後はメアリが今までどおりの日常を過ごしながらも、各章でメインとなるキャラクターと出会い、交友を深めていく。隠されているわけでもないので軽くネタバレするが、章ごとのメインキャラクターの一人はとある降霊会のメンバーであり、話の後半では怪異を発現させることになる。

 ゲームパートの話も。ゲームパートでは怪異に狙われ、見知らぬ影の都市に紛れ込んだメアリが怪異に捕まらないように逃げながら、各地にある声を拾い集めて、最終的にはMのところにたどり着くというひたすら逃げ続ける内容になっている。ターン制でメアリは1ターンには1マス、3マス、5マスしか動くことが出来ず。それぞれ行動回数が決まっている。怪異から逃げ回りつつ目的地にたどり着く必要があるのだが、その目的地はマップに明記されておらず、メアリの持つ時計に表示される方角と相対的な距離から導き出す必要がある。敵である怪異には二種類あり触れても気分(HPみたいなもの)が下がるだけで耐えられるものと、一瞬で絶望してゲームオーバーになる。あとはランダム要素として毎ターン様々なプラス効果かマイナス効果のあるカードがある。
 まあ、このゲームパートの見所はカードの表示とともに発せられるかわしまりのさんの演技に聴き惚れるところと、メアリの必死に逃げ出しているのをプレイヤーが体感できること、そして各所に点在する声により彼らが何を恐れ、なぜ発現させた怪異がそれなのか分かるところだろうか。正直なところゲームとしての面白いとは言いがたいし、メアリの気持ちが体感できてもいくつもステージがあるので飽きてくるのだが、ゲームモードをスキップしてしまうと各キャラの秘めた想いが明かされないままになってしまうため、一周目だけは是非やって欲しい。飽きたら攻略サイト見てささっと進めればいいと思う。
 
 ゲームの概要についてばかり書いていてすっかり自分の感想を書いていなかったが、この作品は非常に面白くて俺の中のベストエロゲのひとつ。お話事態は一本道で各章は基本的に悲劇の物語として、登場する人物の多くは救われることがないまま終わる。己の野心のために怪異を発現させた男、脅迫されて愛する人を守るために怪異を発現させた男、それらの事情を知ることができるのは観客であるプレイヤーだけというのも個人的には好き。登場人物たちはどれも魅力的で、特に主人公のメアリは淑女としての貞淑さとお転婆な側面を両立させていて、とてもかわいい。一般人なので戦闘能力は皆無なものの、何があっても決して諦めない良い子だった。
 あと、まあこれは公式HP見てくれれば分かるけど、絵も良い。好みは人それぞれなので自分で見てください。エロゲでよくある変な画像とか崩れてたりとか違和感あるようなそんなないです。

丸戸史明 『冴えない彼女の育て方5』 読了

 正直このシリーズで一番頭を抱えた一冊でした。

 2巻以来の詩羽先輩回ですね。2巻のときから分かっていたけど、全力で仕事に私情を持ち込む恋する作家『霞詩子』こと詩羽さん。これはものすごい乙女ですね。あまりの乙女っぷりにこっちがびっくりだよ。このめんどくさい感じ、全力で恋に生きてる感じはとても可愛らしいけど、読んでいてちょっと真っ直ぐ見れない。
 
 そしてそんな詩羽さんに主人公はどう対処するのかと思いながら読んでいたら、全力であさっての方向に向かって暴走していました。いや、彼の行動は作り手側にいる人間として間違っちゃいないかもしれないけど、この暴走っぷりは頭を抱えずにはいられない。え、これって詩羽さんが作品に込めた私情というか、行間に詰め込んだ思いとか、こいつまったく理解していなかったということか……?
 
 面白かったけど、面白かったけど……!!

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酉島伝法 『皆勤の徒』 読了

 素晴らしい満腹感のある短篇集。最初の1ページからその独特すぎる世界観で読者をふるいにかけてきて、読むのに労力がいるものの、読み終えた時の満足感はすごい。読み終えても一回読んだだけでは(人によっては何回読んでも)解説を読まないと全体像を理解することができないだろう。途中で辛いと思ったらネタバレなんか気にせずに解説を読みながら読んでしまえばいいと思う。でも、もっとひとつひとつ細かい部分がわからないところあるので細々とした解説がほしい……。あと、カタカナではなく漢字で創られた造語を乱立させることで、よくわからなくても何となくイメージができるという漢字の持つ力を感じさせてくれた。
 
「皆勤の徒」
 一番読みにくくて世界を想像するのが困難。困難だからこそ描写や造語のイメージで世界観を頭の中に想像していくのが楽しい。重苦しいディストピアで怖い世界だけど、ブラックユーモアに溢れていて思わず笑ってしまうことも。
 
「洞の街」
 読みやすくはなったけど、世界を自分で読み解いていく必要があるのでより分かりにくくなった。異形の者が人間として住んでいるのだが
 
「泥海の浮き城」
 傑作。昆虫から進化した虫人間達の住まう世界。種族ごとの独自の性質・文化・倫理が入り乱れており、センス・オブ・ワンダーを感じさせてくれる。風呂が水ではなく、虫に浸かって各体節の汚れを食べたり体液で溶かしてしまうとか体節のゆるい人は脳味噌が食べられて死んでしまったり、他種族に卵を着床するとか、その我々とは異なる人間達の恐ろしくも独特の世界に惹かれてしまう。
 物語としても分かりやすく、匂いを消すことで透明になれる主人公がとある重大事件の調査していく。その調査を通して自分達のルーツとか、その他いろいろなことが分かっていくというまあ、探偵小説になっている。生態が違うので主人公の陥る危機も予想外なもので楽しませてくれる。この短編だけでも是非読んで欲しい。
 
「百々似隊商」
 それまでの短編の謎だったことが解けていく締めくくりの短編。いやでも、分かることもあるけど、やっぱり巻末の解説を読まないとやっぱり全体像は読み解きにくいよなあ。

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月間! オススメの本2014年7月号!!

夜の写本師
 海外翻訳FTを読む人達にオススメなハイ・ファンタジー。魔法のもつ神秘性というものを感じさせてくれる文章は読んでていて心地よい。Kindleで読んだものの紙でも欲しいので今度は紙で再読したい。作者全買いする予定。

東京レイヴンズ
 激烈に面白い。続きが気になって気になって一気読みをしてしまった。物語の疾走感や熱量が急上昇していき、頁をめくる手が止まらなかった。第二部も期待してます。

スチームヘヴン・フリークス
 作者の好きなものを書いたという感じがしていて、とても良い。

新世界より
 非常に面白いんだが精神衛生上よくないSF小説だった。何も知らずにいた子供達が歴史を知ってしまったことで、いつ大人達に殺されるのか分からないという緊迫感に溢れている。最初から最後まで容赦のない展開が続くので覚悟して読んで欲しい。

皆勤の徒
 カタカナではなく漢字で創られた造語を乱立させることで、よくわからなくても何となくイメージができるという漢字の持つ力を感じさせてくれた。一番読みにくくて世界を想像するのが困難な表題作の「皆勤の徒」も見事なのだが、個人的には「泥海の浮き城」の探偵小説っぽく分かりやすい話でありながら昆虫から進化した人間達の多様性や独自の文化・倫理が想像力を刺激されてとても良かった。

四月は君の嘘
 すっごいキラキラとした青春音楽漫画。過去のトラウマから演奏中に自分の音が聞こえなくなってしまう主人公がとある女の子に出会って、自分の中の音楽を取り戻していく……。登場人物の誰もが本気になっていくのがとても良い。これは惚れ込まずにはいられない。努力し、努力し、努力しても目指すものに到達できるとは限らない。その無慈悲さと真剣に向き合ったからこその悔しさなど、とても良い。

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7月に読んだ本

 購入量>読書量なので積読がたまっていく。休日はもっと本を読まなくては……。

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