冲方丁 『マルドゥック・ヴェロシティ』 読了。

 おお、炸裂よ――!

 俺の中で一、二を争う最強の小説。読め、みんな読め、いいから読め、今すぐ買って来い。初めて読んだ時、そう叫びたくなったんだが、再読でその気持ちがより強くなった。とりあえず読んでない奴は買って来い。

 正直言って今さら俺が語るべきことは何もないと思う。娯楽活劇として最高峰である本書は紛れもなく傑作であり、それは他所で幾らでも語られているし、売上げでもそれを証明している。しかし、それでも語りたい。

 冲方丁は『マルドゥック・ヴェロシティ』の前作、『マルドゥック・スクランブル』で一気に名を上げた。『スクランブル』は日本SF大賞に受賞されたほどの作品で、当然傑作だ。今作は、その前作よりも凶悪になっている。

 前作で最強の敵として出てきたディムズデイル=ボイルド。彼を主人公に据えた今作は、我々前作を読んだ読者が気になったことに、明確な答えを与えてくれる。
 我々はボイルドがどうなってしまうのかを知っている。ウフコックと袂を分かつことも、何故袂を分かつことになったのかも知っている。しかし、何故ボイルドがそれを行ったのかは知らず、ボイルドが主人公になることを知った時、それを求めた。

 その答えは非常に暴力的なものであり、悲しく、苦しく、優しいものであった。俺の期待値を遥かに超えており、実のところ、俺はそのようなことを考えている余裕を持つことはできなかった。

 著者は後書きで、書いてる途中で精神状態が悪くなり、職場や家族から逃げ、エピローグを書き終わった時には吐いたと語っている。そんなエピソードを素直に信じられるほど、素晴らしい小説だった。
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テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 本・雑誌

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No title

冲方先生の作品ですか…。
大作が多いと聞きますが、すごいシリアスということで尻込みして読んだことが無いんですよね。

でも「蒼穹のファフナー」は苦手な超シリアス系の話なのにアニメも小説版もすごく楽しめた記憶があります。

ちょっと挑戦してみようかな。

Re: No title

si-taさん、ちわーす。

蒼穹のファフナーを楽しんだんですか、とてもとても意外です。
シリアスといっても具体的にはどういうものが苦手なんですか? 悲劇が苦手ってだけなら、まずスクランブルの方を読んでみることをオススメします。
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