ジャクリーン・ケアリー 『クシエルの矢』 読了

 天使の血をひく人々の国、テールタンジュ。この国では、愛の営みは神へのささげ物である。少女フェードルは”クシエルの矢”と呼ばれる印を持って生まれた<アングィセット>。それゆえに数奇な運命をたどる。



 キリスト神話を用いながらも、独自の神話を織り込むことによって性的な戒めから完全に解放され、きらびやかで退廃的な雰囲気を持つテールタンジュ王国。当たり前のことのように肯定することによって、SMや同性愛といった特殊と見て、距離をとってしまいがちな性癖に微塵も嫌悪感を抱かせないのは素直に凄い。

 原書では千ページ近く、邦訳では合計千三百ページもあるだけあって、読み応えは十分。ハヤカワトールサイズで分冊で三冊は高いと思われそうだが、これだけ濃厚な物語であればむしろお釣りが来る。正直、これほど濃厚だとどこから書けばいいのか分からない。実在する神話や民族を用いつつ、緻密な設定により世界観、魅力溢れるキャラクター達、フェードルの関わる権謀術数……とても一言ではこの物語の魅力を言い表せない。

 原書は現在第六部まで出ているようなので、次の翻訳が待ち遠しい。
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