酉島伝法 『皆勤の徒』 読了

 素晴らしい満腹感のある短篇集。最初の1ページからその独特すぎる世界観で読者をふるいにかけてきて、読むのに労力がいるものの、読み終えた時の満足感はすごい。読み終えても一回読んだだけでは(人によっては何回読んでも)解説を読まないと全体像を理解することができないだろう。途中で辛いと思ったらネタバレなんか気にせずに解説を読みながら読んでしまえばいいと思う。でも、もっとひとつひとつ細かい部分がわからないところあるので細々とした解説がほしい……。あと、カタカナではなく漢字で創られた造語を乱立させることで、よくわからなくても何となくイメージができるという漢字の持つ力を感じさせてくれた。
 
「皆勤の徒」
 一番読みにくくて世界を想像するのが困難。困難だからこそ描写や造語のイメージで世界観を頭の中に想像していくのが楽しい。重苦しいディストピアで怖い世界だけど、ブラックユーモアに溢れていて思わず笑ってしまうことも。
 
「洞の街」
 読みやすくはなったけど、世界を自分で読み解いていく必要があるのでより分かりにくくなった。異形の者が人間として住んでいるのだが
 
「泥海の浮き城」
 傑作。昆虫から進化した虫人間達の住まう世界。種族ごとの独自の性質・文化・倫理が入り乱れており、センス・オブ・ワンダーを感じさせてくれる。風呂が水ではなく、虫に浸かって各体節の汚れを食べたり体液で溶かしてしまうとか体節のゆるい人は脳味噌が食べられて死んでしまったり、他種族に卵を着床するとか、その我々とは異なる人間達の恐ろしくも独特の世界に惹かれてしまう。
 物語としても分かりやすく、匂いを消すことで透明になれる主人公がとある重大事件の調査していく。その調査を通して自分達のルーツとか、その他いろいろなことが分かっていくというまあ、探偵小説になっている。生態が違うので主人公の陥る危機も予想外なもので楽しませてくれる。この短編だけでも是非読んで欲しい。
 
「百々似隊商」
 それまでの短編の謎だったことが解けていく締めくくりの短編。いやでも、分かることもあるけど、やっぱり巻末の解説を読まないとやっぱり全体像は読み解きにくいよなあ。
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