野村美月 『吸血鬼になったキミは永遠の愛をはじめる』 読了

 バスケを愛して、バスケを楽しんで、バスケをやるために生きてきた少年がある日、突然に、腹を刺されて死に瀕してしまう。そんな彼のもとに吸血鬼の少女が現れて不平を言いつつも彼を吸血鬼にする。

 吸血鬼となった少年は、視野が広がり目がよく見えるようになり、耳も、鼻も遥かに鋭敏になってしまった。身体能力も当然向上して、彼のしたかったバスケは崩壊した。突然に手に入れた力で、相手の動きが見えて、自分がどう動けばボールがゴールに入るのかわかってしまう。勝てないような相手にも臆せず立ち向かい、負ければ努力して、努力して、次に勝てるよう考えて、チームでどう動けば勝利につながるのか、努力してきた。バスケ一筋でそれしかなかった少年が吸血鬼という素晴らしい肉体を唐突に与えられたことで、彼は自分一人で動いて勝てるようになってしまった。敵と競い、仲間と競い、チームで協力して行われるバスケットボールは完全に失われてしまった。バスケへの直接的な愛よりも、愛を失った苦痛を描写することで少年がいかにバスケを愛してきたかが物語では語られる。
 
 吸血鬼になり、大切なモノを失って、それでも自分は変わってなんか居ない。人間なんだと目をそらして、虚勢を張って生きている。そんな時に彼は一人の少女と出会い、演劇をすることになる。吸血鬼として、血を吸いたいという衝動を恐れながらも、優しくて思いやりがありそして強くはない少女の存在に惹かれていく。

 この二人にはどちらも向上心が有り、成長しようという気概がある。しかし、彼らは弱く。どうすれば解決するのかなどは知らない。でも、精一杯行う。今回は演劇という形で彼の不安を払拭することが出来た。

 今後どうなっていくのかはわからないけど、絆を深めて正式にパートナーとなり、弱さも共有して、互いに切磋琢磨していくのだろう。強いヒーローが他者を救うのではなく、互いに弱いけれども二人が一緒に居たからこそ彼らは先に進むことが出来た。
 これからどうなっていくのかは予想もつきませんが、これも全買い確定です。とてもよいものを読んだ。
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