アンディ・ウィアー 『火星の人』 読了

 火星版ロビンソン・クルーソー。孤島サバイバル in 火星。

 主人公のマーク・ワトニーは火星探査船が離れる際に事故にあい死んだと推測されて置いて行かれてしまった。マークは次の火星探査船が火星に来るまで(約4年)、生き延びるための生存戦略を始める。
 マークの置かれている状況は過酷だ。火星には人間が生存するための酸素も水も温度もない。当然、4年分も食料は用意されていない。事前にNASAが火星探査のために用意した分だけで賄うしかない。これらを維持する機械の故障は死に直結する。そんな、ないない尽くしで絶望的とも言える状況をマークは一つずつ解決していく。NASAの宇宙飛行士すごい。

 本書の魅力としてまず最初に上げたいのは主人公のマーク・ワトニーのキャラクターだ。マークは上記の通り酷い状況に陥っているにも関わらず、悲観的になって立ち止まったりしない。現実を見据えながらも前向きで何とかする方法を思いつくさと楽観的でもある。
 こう書くとなかなかの大人物のようだが、マークは一言で表現すると"面白い"人物となる。マークの行動は非常にユニークで読んでいて笑ってしまう。本書のマークの視点はマークの書いたログという形で描写されるのだが、そのログには暇な時間に見ていた70年代のテレビドラマの感想や音楽がディスコしかない(どちらも船長の私物)ことへの愚痴まで書いてある。他にも自分のことを指して火星の王であるとか、ふざけたことを書いていく。わざとふざけている部分もあるんだろうけど、通信復旧後のNASAとのやり取りでもふざけたので、ほぼ素だと思う。

 本書はハードSFではあるが、難しい小説ではない。専門用語はそれほど多くないし、出てくる科学知識のほとんどは義務教育に習うことの範囲内。マークの語り口はわかりやすいので、習ったことを覚えていなくても全然問題ない。読んでいると久しぶりに理科の実験をしたくなる。水素実験とか懐かしい。

 軽い語り口とそれに反比例するかのような紙一重の生存戦略が魅力の一冊。
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