綾里けいし 『ヴィランズ・テイル』 読了

 ヒロインが私を食料的な意味で食べて! と主人公に迫り部屋に居着いてしまうという学園異形ラブコメである。
 普段から「J・ケッチャムのオフシーズン(食人族との戦いを書いた傑作ホラー)は最高ですよ」とか、「湘南人肉医は人肉を美味しそうに料理して食べるから良い。やはり現代日本なんだから生でそのまま齧るなんてナンセンス。食べ物は美味しく頂かないとね」等と普段から食人物を褒めている俺は読まないといけないんじゃないかと思ったけど、結局誰も美味しく頂かなかったので、非常に残念でした。いや、ヒロイン食べちゃったらシリーズにならないけどさ!
 
 まあ、そんなことは置いておいて、いろいろと何かをこじらせてしまって食料志望を抱くヒロインは、先日自分の姉が殺された際になぜか肝臓が持ち去られたこと。肝臓の摘出は手際よく行われていること。犯人は捕まっているが死因とは全然関係ないこと。授業で解剖を行った際に主人公は冷静で手慣れている様子であったこと、主人公は豚や牛や鶏肉などが食べられないけど好物がお肉であること。そうしたところから、肝臓を持ち去ったのは主人公でその理由は食べるためであると結論を出す。
 
 ここが一般家庭であったならただの誤解で変なストーカーに言い寄られているだけで、なにも問題なかったのだが、主人公一家は異常者の集まりであったので、主人公はもしやと思い兄妹の各部屋にある冷蔵庫を漁る。そうしたら、なんと各部屋から血まみれの衣服やら肝臓やら誰かの手首やらが出てきてしまう。肝臓があるかもって思ったら誰のものかもわからない手首まで出てきてしまったので、主人公は一家を守るためにヒロインの疑惑が家族に向かないように、ヒロインと二人でいちゃいちゃしつつ、食人鬼の疑惑をそらして誰かに押し付けようと行動する。
 
 主人公とその家族はそれぞれ異常な環境で育てられたために、まっとうな倫理観を持っていない。まっとうな過去も持っていない。だから特に主人公は一般に適応しようと擬態する。はみ出し者だから団結して、互いに愛を持っているにも関わらず、まっとうな関係は築けていない。本書はそんな歪な家族が苦難苦闘しながら平凡へと適応しようとする物語である……というのはまだ一巻なので言いすぎか。まあ、そんな初期の西尾維新をほうふつさせる作品である。
 そんなことより、ヒロインの初姫ちゃんがやたらと可愛い。食料として食べられたいのであって、性愛的なニュアンスではない。積極的なアピールをしつつも貞操は守る。調理以外でのお触りは厳禁。不健全なようでいて超健全。はたから見ているとカップルそのものでいちゃいいちゃと見せつけてくれる。いいぞ、もっとやれ。
 
 シリーズ物の一巻としても、一冊完結の物語としても良いバランスで終わっている。こういうラノベもっと増えて欲しい。
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