月刊オススメの本2015年12月号

闇の虹水晶
 ここまでどれを読んでも面白い作家というのはそうそう居ない。なんというか、文章というか描写がすごく良い。この面白さを伝えるのは文章をそのまま引用するくらいしか思いつかないのだが、どこを引用すればいいのか迷う。Amazonのほしい物リストを公開しているファンタジークラスタに誰かれ構わず送りつけたい。

モーテ ―死を謳う楽園の子―
 一巻で完結していた物語。その続きは主人公(視点人物)を変えてきました。
 十代のうちに自殺してしまう病『モーテ』というその病にかかった子供達が収容されるグラティアが舞台。前巻よりも病気について深く描写されます。そして、登場する人々の優しい。優しいからこそ苦しい。
 著者のファンにとっていろいろと既視感のあった前巻と違い。今回は完全にオリジナル。

狼の口 ヴォルフスムント 7巻
 今までは攻める側だったけど、今度は城を奪取して守る側に! なんか尋常じゃなく攻城兵器強いですね……。
 なんかこれを読んでいると物量と質も上回る軍を相手に天才的な軍師の活躍で倒す! みたいなものは夢物語だと感じますね。それはそれで面白いんだけど、たまにはこういう容赦のない物語も楽しみたい。
 それはともかく、死んでいるのにさらっと背表紙に登場しているヴォルフラム……。

問題児たちが異世界から来るそうですよ?
 第一部完結! なんかするする読めて非常に良かった。圧倒的な強さを持つ十六夜を純粋な戦闘能力で超える絶対悪アジ・ダカーハとの戦い。始まったと思ったらまさかの短編小説をぶち込まれたり……これはWebスニーカーの短編連載をちゃんと追って行けということなのか。
 それはともかく、もうこれラスボスなのではと思うくらい強いぞ。人間以外が相手だと相手の戦力に合わせて強化されて50対50にまで引きあがるとか無茶苦茶な能力。各階層支配者や元魔王も参戦して主催者権限による弱体化をルール使っているのに、全然弱くなってない。
 こういう無敵を誇っていた主人公を能力的に上回る事態。嫌いじゃないです。

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月刊オススメの本2015年11月号

問題児たちが異世界から来るそうですよ? そう……巨龍召喚
 問題児シリーズの面白さは十六夜くんがどんなに強くてもゲームクリアには他者を必要とするところですね。単純な暴力では彼を相手にできるものはほとんどいないし、それだけでなく知識が豊富で頭も回る。でも、そんな十六夜くんが一人だけ活躍しないように、十六夜くんの動きを妨害する敵キャラを配置したり、時間制限をつけることで物語に適度な緊張感が出る。
 まあ、十六夜くんは範囲攻撃や遠距離攻撃がない(物をぶん投げるくらい)ので、彼を足止めできるキャラさえいれば、他のキャラが彼に頼れない状況は割と簡単に作れますね。
 ヒロイン枠にいるレティシアさんを除いてみんな活躍してきたので、あとはヒロイン枠にいるレティシアさんの活躍がみたいです。

対魔導学園35試験小隊5 百鬼の王
 主人公回。ここからが本当の本編だ! と言わんばかりの黒い話になってます。パワーインフレもしていきますし楽しくなってきました。しかし、このパワーインフレってうさぎちゃんだけ戦闘についていけなくなってしまうのでは……?
 原作でもアニメでも、モブっぽくやられていた京夜くんがなんかキャラ立ってきました。ついこの間までただのやられ役のモブだと思ってたのにこの成長ぶり。完全に想定外だ。
 このシリーズはほどよく真っ黒で読みやすいし気軽に何も考えずに読めて楽しい。


 明治や戦前を舞台にした小説なんてほとんど読んだことがないし、俺の乏しい語彙力では非常に魅力を伝えにくい。まあ、少なくとも皆川博子が全部買う作家の候補に入ったことは間違いない……作家としてのキャリアも長く冊数も多いので集めるのも一苦労しそうだが全部読みたい。
 
青春攻略本
 一人の作者を全部お勧めするという行為は信者と呼ばれても仕方ないんじゃないかと思われるがします。でも、なんというか作者と波長が合う気がするんですよね。
 ホモっぽくならない程度の男の子の友情物は好物です。友達の恋を応援してみんなで協力してバカやったりするところが良いですね。

隣り合わせの灰と青春―小説ウィザードリィ
 これを読んでウィザードリィにおいて侍こそが最強の戦士だと思わない人間がいるだろうか。ウィザードリィの各種職業の説明や善・悪両方のパーティーに内面や志向性を十分書いてこのページ数に収めているのはなかなかすごい。ベニー松山さんはもっと小説を書けばいいのになあと思わずにはいられない。
 
記憶破断者
 記憶を操る能力者 VS 記憶を短時間しか保てない主人公
 記憶を喪失してしまうため、ノートを使って記憶を補完する主人公は記憶を操られてもそれを覚えていることができない。そんな主人公が記憶を操る能力者とどうやって戦うのか。かなり楽しい。
 明かされなかった空白の部分はどうなっているのか。そこを考え始めると後味が悪い。
 
人狼作家
 人狼ゲームは考えて考えて考えなければならない。村人であれば人狼を吊るすために持論を展開して、目立ちすぎれば死ぬ。発言量が多く発言力が強いと反発されたり、対立されたりで吊るされたり食われる。占い師がいるものの、人狼や狂人が騙ることが多いのでどちらが信用できるか発言で判断しなければならない。寡黙であれば目立って吊るされることを恐れた人狼ではないか。村に貢献しない人間であると吊るされる。生き延びれば生き延びるほど人数は減るけど情報量は増えて判断材料が増える。どちらも人間なのでミスをする。定石はあるけど、定石を守るとは限らない。重要な能力を持った役職だけど仕事が忙しくて発言量が減って寡黙になり吊るされることもある。村人は疑心暗鬼になりながら人狼を探し続ける。
 前置きが長くなったが、本書は現役ミステリー作家達がプレイした人狼ゲームのログである。叙述トリックとかロジックエラーとか、そういったものと日夜戦っているミステリー作家。推理合戦とか書いているであろう作家。物語を提供するエンターテイナーである。ゲームへの貢献よりも面白さを取るのでは? 発言したら重箱の隅をつつきまくるのでは? それとキャラと作家が誰なのか中の人当てクイズもできる!
 まあ、実際に疑心暗鬼のはびこる地獄です。それ以上はネタバレになるので何も言えないのだが。

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月刊オススメの本2015年10月号

やがて君になる (1)
 恋愛で人を好きになる気持ちがわからない主人公が、同じく恋愛が分からないという先輩と出会う。そこで主人公が本当の恋を知る……だったらよくある少女漫画の展開なんだけど、これは逆にその先輩が主人公を好きになってしまう。自分と同じだと思っていた先輩に対してズルいという嫉妬を感じたりと今まであまり見ない視点で物語が進んでいくのが良い。相手が自分のことを好きだと知って翻弄していく主人公と全力で恋する乙女の可愛い姿を見せる先輩一冊で二種類の味が楽しめる。とても楽しい。
 あ、百合漫画です。
 
ペガーナの神々
 5年以上前から積んでいたのだが、最近になって復刊したので今が旬!とばかりに読み漁った。人間の尺度では図ることのできない神々の物語。全体的に表現が素晴らしく、ロードダンセイニを全部買いたくなる本でした。これぞファンタジー。
 
ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (8)
 流石にもうこの作品を敢えて推す必要を感じない……と思っていましたが、8巻は実に俺好みな状況で前巻以上に楽しかった。圧政や暴君が必要とされる国家という素敵な状況。暴君へと成長したシャミーユ殿下の立派な姿には萌えずにはいられない。

俺の教室にハルヒはいない
 びっくりするほど俺好みだった。最近、ラブコメで想定外というのをあまり見かけなかったので、新鮮な感じがしてよかった。主人公の言動が想定外で常に変化球を投げてくるのが楽しい。お互いに恋愛的な意味合いで好きだと確認しあったのにそこで付き合おうという話にならないので、なんか先が読めなくて楽しめた。付き合えない事情があるならともかく、その子との間にはなかったからな……。
 まあ、打ち切りなのか最後は少々駆け足で説明不足もあったけど、ラブコメで重要なのはヒロインとの関係の発展! 友達でいよう!と終わったわけですが、友達と言いつつキスしようとしたり、本音を御せてないのがすごく良い。そうやって、友達だって建前のまま実質恋人な生活を数年過ごして結婚しそうなこの距離感。最高だ。
 

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月刊オススメの本2015年9月号

屍鬼
 読んだのは小野不由美の原作。序盤はSFとして楽しみ、中盤からはホラーとして、そして状況が改善しないもどかしさを挟んでの破壊のカタルシス。どれも最高級の味わいでこんなに面白い本を数年積んでいた俺は何をしていたのだろう。ゴーストハント等の他の小野不由美作品も読みたいところ。そういえば、漫画化とアニメ化もされているようだが、そちらも読んでみたいところだ。絶対に違う物になってるだろうし。

レオ・アッティール伝 (2) 首なし公の肖像
 杉原智則は超人というものを書かない。レオ・アッティール伝の主人公のレオは英雄であり、後世では悪名高い人物として語られているが、とてつもない知略を駆使しているわけではない。今巻で彼は自身の立場と周囲の状況を利用して味方を作ろうとする。しかし、その行動を通して彼は敵を作り出した。アリオン公国と戦うためにはまずなによりも味方が必要でそのために後の火種をまいてしまう。
 彼の講じた策もいくつかは失敗が起きて窮地に立たされてもいる。結果的には最後に幸運を掴み取れた。それこそ英雄の資質なのだろうか。しかし、そこに至るまでには小さな失策や致命的な失策もある。
 正しい選択をするだけではない、成功と失敗も両方含まれる選択をする英雄譚。そこには人間味が生きづいて楽しい。

ヴァーリアの花婿
 表題作が幼馴染物のラブコメとして素晴らしすぎた。そのあまりの素晴らしさに他の収録作品が何か忘れた。この短編には幼馴染物語の夢が詰まっている。幼馴染万歳!

僕のヒーローアカデミア1~5
 印象としてはアメコミヒーローに学園要素を詰め込んだものっぽいという感じなんだけど、アメコミヒーローを読んでないので迂闊なことは言えない。少年漫画の王道を地で行く作品で努力×友情=勝利。王道は面白いから王道なんだ。
 クラスメイトはヒーローになりたいという夢を追いかける同志であり、ライバルでもある。ヴィランとの戦いでは共闘するけれども、クラス内での競争行事では仲間は敵にもなる。すごい能力を使いこなせていない。

赤髪の白雪姫
 最近読んだ少女漫画の中では文句なしのナンバーワン。薬剤師であるヒロインの白雪と、第二王子であるヒーローのゼンはそれぞれ立場が違う。できることが違う。責任の重さも違う。この二人は対等の友人(途中から恋人)なんだけど、互いの立場の違いを理解していて、それぞれ相手の負担にならないように、一緒にいられるように互いにできることを努力していくのが素晴らしい。
 ヒロインの白雪さんが良い。一人で頑張りすぎてしまうのは欠点だけど、まず自分で何とかしようとするその姿勢は良い。

ワールドトリガー 12
 総合力の優れた個人の圧倒的な強さ。それを封じ込める戦術。エース同士の対決。三つどもえの戦いをこのページ数でそれぞれキャラの特徴を引き立たせてまとめてしまうなんてワートリは尋常じゃなくすごい。

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月刊オススメの本2015年8月号

あいにいける秋田犬のの nono's Daily Life Photo book
 秋田県大館市大町商店街のゼロダテで働いているアイドル。ののちゃんの写真集。TwitterやFacebookでも写真は見れるが、ののちゃんのご飯代になればと思い購入。我がモットーは『立ち読みしやすい本は買え』である。こうして見ると秋田犬が一年でどれだけ大きくなるかよくわかる。ののちゃん可愛い。もふもふしたい。秋田に旅に出たくなる一冊。
 
アイドルマスター ミリオンライブ! 2
 静香回。自分の代わりに舞台に出た未来に悪いところなんて何もなかった。それでも、自分が舞台に立ちたかった。未来が出てライブが代わりに出て成功したことが悔しい。そんな消化できない思いを抱いてしまう。
 若者の等身大の悩みは見ていて楽しい。静香ちゃんは良い子なんだけど、良い子だからこじれてるなあ。
 今これを書いていて気づいたけど、これすごく部活物っぽい。
 
戦国妖狐 15
 

敵と「強さ」を競う時、隠した「弱さ」と「恐怖が」蓋の下で存在感を増す。


 真介の成長に涙が出てくる。思えば彼も主人公にはなれなかったものの、大きなドラマを持った登場人物であった。生死をかけて戦うことの恐怖を乗り越え、憎悪に堕ちて復讐をし、力の無さを思い知らされ、その後は保護者として子供達の補佐をして成長を見守る。力の優劣に関係なく人と闇の双方と向き合える真介はすごい奴だ。泣ける。

幻獣辞典
 不眠で眠れないときにだらだらと眺めていたんだけど、とても面白い。覚える必要のない雑学は気楽に、ただ楽しむだけでいい。覚える必要なんてどこにもない。まあ、気になった幻獣がいるのなら再読すれば良いし、ほかの本にも読めばいい。一番読んでいて楽しい本だった。
 
火星の人
 孤島(火星)サバイバル小説。
 主人公は終始ユニークでユーモアなキャラクターを維持し続ける。お陰で雰囲気は暗くない。むしろ、積極的に笑いを取りに来る。 しかし、火星は過酷な環境で、危険を冒さなければ生き延びることができない。そして、危険を冒して失敗すれば簡単に死ぬ。この落差がとても素晴らしい。映画化も既に決まっているので是非見たいところ。そういえば、この内容ならばお金さえあればテレビドラマも出来たのではないだろうか。

ヨハネスブルグの天使たち
 アフリカを舞台としたSF短編集。間違いなく面白いのだが、どう面白いのか伝えようにも言葉が出てこない。

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