汀こるもの 『レベル96少女 不穏な夏休み』 読了

 汀こるもの先生の最新作! 流行ネタ用語をふんだんに使用していますが、作者は常に出版前にこの言葉消えたりしないかなと不安だそうです。この物語を楽しめるのはリアルタイムに俺ら生きている俺らだけ! と思うとなんとなく今を生きていることに優越感を抱けたりしませんかね。しないですよね。

 今回は善意の人助けによる被害が目立ちましたね。実はデビュー作の頃からそうなんですが、こるものワールドでは善意の人助けが原因でひどい目に遭うキャラが多いです。交番勤務の警察官が老人に親切にしたら死神の付き人になって、孤島サバイバルしているTHANATOSシリーズ(ステマです。買ってください)。Fateのエミヤくんみたいに人助けが趣味ですみたいな奴がいたらたぶん死ぬ。

 話が逸れましたが、れべきゅーシリーズはメインが中学1年生(女子)なので、人助けで大ダメージを負うのは流石に可哀想ですね。困っている男の子に声をかけたら実は相手が妖怪で無理心中させられそうになる芹ちゃんとか可哀想にも程がある。
 いつもいつも友人のいっちゃんに助けられては申し訳ないし、迂闊な事をした(困っている人に声をかけただけです)のが原因なので怒られるのが嫌という理由で溝越さんと解決を目指すというものです。前巻で宝具があることが判明した雀のほうが頼りになるのに、雀さんを尊重して溝越さんを相方にする芹ちゃんは優しい子です。溝越さんがたいして役に立たないのは分かりきっていたことなのでネタバレしますが、この話は芹ちゃんの友情パワーが炸裂します。ちょっと感動しました。いっちゃんはもっと芹ちゃんを大切にしたほうがいい。

 もう一つはいっちゃんの毒祖父が現れて霊感商法による人助けに借り出されるという話なんですが、うんまあ、これまでろくでもない親であったことは自明だったんですが、毒祖父。本当に毒ですね。もともといっちゃんは霊能力で怪物退治とかを生業にしてノブレス・オブリージュみたいな感性を持っているので人助けしたい。さすがに他の霊能力者の仕事を奪うような真似はしたくないので、仕事を選びますが、お爺ちゃんの手伝いという言い訳を得て借り出します。
 霊能力でろくなことがなかったいっちゃんの父・大雅は当然嫌がります。というか、娘を霊感とかそういうのと関係ない真人間に適応させようとしていたところに霊能力関係者が嫌になった最大の原因である自分の親父が出てきたんだから、まあ、キレるよね。さすがに家出するのはどうなのかなあと思ったけど、いっちゃんの性格を把握して気軽にこれるところにプチ家出していっちゃんに祖父が嫌になったらいつでも遊びに来てね! とちゃんと連絡先も教えてるし、身の回りの世話する人間と妖怪が祖父含めてあれだけいたら育児放棄とは言い切れない! なんか最後は良い話風ではなく本当に良い話で締めたけど、ちょっともやもやする。
 いっちゃんが意外と日常生活に適応していたこととか、毒祖父に搾取されている現状の悲惨さとか芹ちゃんの友情とか見所は多いんだけど、祖父が無事旅立ってしまったことがもやもやする! HENTAIを容赦なく物理で殴る雀ですら何もしないなんて! まあ、さっさと銃で解決しようとしたのを釘を刺されたのかもしれない。
 ぼっちでも良いからご飯はちゃんと食べよう!

 感想というかただの紹介文になってしまった。まあいっか。

灰と幻想のグリムガル level.7 彼方の虹 読了

 おお、これは面白い。新天地にて言葉が通じない原住民と試行錯誤していくのって最高じゃん。正直なところ、グリムガルは異世界召還ファンタジーで職業:冒険者(正確には義勇兵)をやる普通のJRPG的世界観だったし、今までゴブリンとかオークを情け容赦なく殺していたのに、いきなり未知の知的生命体とのコンタクトをやられてびっくりした。

 でも、新天地はグリムガルとはまた別の異世界でここには誰が敵で味方なのか既知の情報が多いグリムガルではない。純粋に異世界に行って誰も頼れる存在がなく何が食えるのかどこが安心なのかまったく分からないまま、パーティーだけで生きていくのは無理があるよな。ハルヒロ達は弱さを自覚してるから常に頼れる存在を欲しがっている。だから、まず最低限の頼れるもの(衣食住)を見つけるために、人間の姿形をしていない相手でもコンタクトを取ろうとする。失敗したら死ぬけど成功しなきゃ死ぬしかないので、仕方ねえよなあ。

 新しい土地で衣食住を確保してからはいつも通り、義勇兵生活。まずこの世界での硬貨を見つけようと沼を漁ったり、危険生物がいるとわかったら場所を変えたりと概ね狩場を探したりといつも通り。まさかこの巻だけでグリムガルへの帰還する道まで発見できるとは思わなかったけど、だいたいそんな感じです。

 いやあ、しかし今回はハルヒロ大変でしたね。途中まで頼れるものが何もないから、リーダーとしての重圧がすごいこと。決めなきゃいけないことだらけで、情報はほとんどない。盗賊なので探索における偵察という情報収集は全部ハルヒロが請け負っている。偵察で一人になるってことは下手すると死ぬし、最悪パーティーの生存率に関わる。
 改めてハルヒロの置かれた状況を見てみるとハルヒロの器に対して重圧が大きすぎるので、ハルヒロに自分よりも仲間を大切にしすぎることはよくないと率直に言って、皆だってハルヒロが大切なんだと伝えたシホルはグッジョブだった。クザクは腹割って話したけど、積極性が足りなかったな。

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Dies irae ~Amantes amentes~ (1) 読了

 原作ファンとして本当なら原作知らなくても大丈夫ですよとか無理じゃねとか判断したいところだが、2007年の体験版公開当時から触れている身としてはなんも言えない。たぶん初めての人は呼称覚えるのが大変なんじゃないかなと思うくらい。

 というわけで原作ファン向けの感想として、いやこれ素晴らしいと思いますよ。コミックだからイラストになっていない部分が当然あるわけで、ルサルカの拷問器具の車輪で失踪とかどうなっているのかわかる。あと個人的にっていうかみんな体験版部分で好きなところだと思うんだけど、ベイと戦う際に背後の木を折らせて破片を足でぶち込むとか再現されていて読んでて楽しい。
 
 物語の圧縮も上手い。というか、CS版出たとき最プレイしてなげえと思った体験版パートをここまで圧縮するとは思わなかった。お陰でただでさえ少なかった学園要素が消えかかっているけど、もともと学園要素なんて少ないので問題ない。この調子なら期待できるんじゃないかなあと思うけど、まだコミック一巻で情報量が薄いのでなんとも言えない。台詞の圧縮は賛否ありそうだけど、コミックに入れるには基本長いから仕方ないよね。だいたい意味同じだし。 

 あとヒロインが可愛い。テレジア先輩の何気ない仕草が可愛い。代わりに電波力が抑え目だけど、可愛い。

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丸戸史明 『冴えない彼女の育てかた 9』 読了

 主人公が本気を出すとみんな頭を抱えたくなる結果に落ち着くのはどうしてですかね……。

 今回は読むのがいろいんな意味で苦しい物語だった。いや、なんていうか痛い。超痛い。すごく読ませる力を感じるけど、誰にあてたか分かる明確なラブレターの端々を読ませられるとすごくつらい。詩歌先輩といい、どうして君らはそういうことをするの!
 ネタとして美味しいとは思うけどお前らもうちょっと二次元と三次元の区別をつけろよ! とか思わずにはいられない。しかし、冷静に考えると始まりからして加藤を胸がきゅんきゅんするメインヒロインにする話だもんな……いまさら過ぎるか。

 今回の見所は主人公がエリリをどう思っているのか。それが分かることですね。7巻のおかげで俺は詩羽先輩を拗らせましたが、今巻ではエリリを拗らせる人が出てきそうですね。完結したらそろそろ丸戸史明被害者の会を結成しても許されるんじゃないかな。そういうファンサイトを作ってもいいんじゃないかな。

 すごく面白かったです。自覚がありつつも目をそらしているハーレムラノベの主人公って、やっぱり人としてどうかと思います。

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綾里けいし 『ヴィランズ・テイル』 読了

 ヒロインが私を食料的な意味で食べて! と主人公に迫り部屋に居着いてしまうという学園異形ラブコメである。
 普段から「J・ケッチャムのオフシーズン(食人族との戦いを書いた傑作ホラー)は最高ですよ」とか、「湘南人肉医は人肉を美味しそうに料理して食べるから良い。やはり現代日本なんだから生でそのまま齧るなんてナンセンス。食べ物は美味しく頂かないとね」等と普段から食人物を褒めている俺は読まないといけないんじゃないかと思ったけど、結局誰も美味しく頂かなかったので、非常に残念でした。いや、ヒロイン食べちゃったらシリーズにならないけどさ!
 
 まあ、そんなことは置いておいて、いろいろと何かをこじらせてしまって食料志望を抱くヒロインは、先日自分の姉が殺された際になぜか肝臓が持ち去られたこと。肝臓の摘出は手際よく行われていること。犯人は捕まっているが死因とは全然関係ないこと。授業で解剖を行った際に主人公は冷静で手慣れている様子であったこと、主人公は豚や牛や鶏肉などが食べられないけど好物がお肉であること。そうしたところから、肝臓を持ち去ったのは主人公でその理由は食べるためであると結論を出す。
 
 ここが一般家庭であったならただの誤解で変なストーカーに言い寄られているだけで、なにも問題なかったのだが、主人公一家は異常者の集まりであったので、主人公はもしやと思い兄妹の各部屋にある冷蔵庫を漁る。そうしたら、なんと各部屋から血まみれの衣服やら肝臓やら誰かの手首やらが出てきてしまう。肝臓があるかもって思ったら誰のものかもわからない手首まで出てきてしまったので、主人公は一家を守るためにヒロインの疑惑が家族に向かないように、ヒロインと二人でいちゃいちゃしつつ、食人鬼の疑惑をそらして誰かに押し付けようと行動する。
 
 主人公とその家族はそれぞれ異常な環境で育てられたために、まっとうな倫理観を持っていない。まっとうな過去も持っていない。だから特に主人公は一般に適応しようと擬態する。はみ出し者だから団結して、互いに愛を持っているにも関わらず、まっとうな関係は築けていない。本書はそんな歪な家族が苦難苦闘しながら平凡へと適応しようとする物語である……というのはまだ一巻なので言いすぎか。まあ、そんな初期の西尾維新をほうふつさせる作品である。
 そんなことより、ヒロインの初姫ちゃんがやたらと可愛い。食料として食べられたいのであって、性愛的なニュアンスではない。積極的なアピールをしつつも貞操は守る。調理以外でのお触りは厳禁。不健全なようでいて超健全。はたから見ているとカップルそのものでいちゃいいちゃと見せつけてくれる。いいぞ、もっとやれ。
 
 シリーズ物の一巻としても、一冊完結の物語としても良いバランスで終わっている。こういうラノベもっと増えて欲しい。

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